バイオリン弾きの Musikleben in Muenchen
by flageoles
カレンダー
S |
M |
T |
W |
T |
F |
S |
|
|
|
|
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
6
|
7
|
8
|
9
|
10
|
11
|
12
|
13
|
14
|
15
|
16
|
17
|
18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
30
|
31
|
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
エキサイト以外
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2011年 03月 30日
『沈黙の向こうにおられる神』
これは数年前にミュンヘン、ダッハウの元ナチスの強制収容所跡にある
カルメル修道会の祈祷会に参加した際に頂いた、日本人シスターのお言葉です。
この言葉が最近、毎日何度も頭を巡っています。
献身以来、人生をかけて、人々へのとりなしの祈りをされているシスターに、
私が『シスターはずっと祈られていて、その祈りが神に届くどころか、
空中に消えていくような無意味なものに、感じられた事はありませんか』と
お尋ねした時に、
『沈黙にひたすら語りかけて疲れ果てて、それでも語りかけて、するとその更に
向こうに、おられると言うか・・・・』
と、遠くの “そのもの” を見つめるかの様に仰たのでした。
沈黙のむこう・・・・
なんとなく、分かるような気もするけれど、やっぱり分からない。
でも、例え相手が沈黙でも、今の私には語りかける事を止められない。
結局、信じなければ生きてはいけないのです。
『ニーバーの祈り』
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
2011年 03月 27日
昨日、ミュンヘンのテアティーナ教会にて行われた、ミュンヘンフィルと
ミュンヘンフィル合唱団有志による『東日本大震災で被災した子供たちの為の
チャリティーコンサート』では、立ち見の場もない程、会場満員の1000人を
超える来場者が集まり、38160ユーロの義援金が集まったそうです。
この義援金は、在ミュンヘン日本国総領事館を通じ、日本赤十字社から
被災地へと送られます。
大聖堂に座すと、どんなに会場満員で千人であっても、人間である以上、
絶対に理解しきれないもの、逆らえないものの前に、私達は徹底的に無力
なんだと改めて感じました。『何故?』と問うことしかできない。
どうしてこんな酷いことが起こったのか?
どうして神はこんなことが起こるのをゆるされたのか?
本当に神なんているのか?
神は私達をなんと思っているのか?
レクイエムを聴きながら、私は果てしない『何故?』を、この2週間、
『沈黙』を守り通している人に、問うていました。
多分皆がそうであったのではないかと思います。
しかし、聖壇を見上げ何度問いかけても、レクイエムと会場の思いが、
天空の静寂に消えてしまうようで、どこかに届いてるという今までの感覚が
どうしても得られなかった。
やっぱり神なんていないんだ。
そう思った時、最後の和音が鳴らされた後の静寂の中に、教会堂の鐘が鳴りました。
誰も予期しなかったその鐘の音に、瞬間、ぐっと息をのみました。
身体の芯まで深く響く音でした。
この鐘の音は、一日経った今も、私の心に響いています。
残念ながら私は今も尚、『神』を見失ったままです。
しかし昨日の演奏会では、人々からとっても大きな励ましを頂きました。
『人々の中に住まわれる神。』
それが、今私にとって唯一の『頼みの綱』です。
こちらで、演奏会の素敵な写真をご紹介くださってます。
2011年 03月 24日
この度の、未曾有の東日本大震災で被災した子ども達のために、
今週3月26日(土)11時より、ミュンヘンのオデオンス広場に面する、
テアティーナ教会にて、ミュンヘンフィル並びに、ミュンヘンフィル合唱団
有志130人が、チャリティーコンサートを開きます。
発起人の声かけに『私になにかできるなら』と、あっと言う間に130人の
有志が集まったということです。曲目は、W.A.Mozart 『Requiem』。
ミュンヘンに在住の方々、是非、ご家族、ご友人をお誘いの上、演奏会に
いらして下さい。そして被災された方々、ご家族を亡くし悲しみの底にある方々、
現在、命をかけて救援、原発の仕事に携わっておられる方々の為に、共に
祈りましょう。一人一人の祈りが積まれる時、必ずや、どんなに大きな試練も
共に乗り越えられる事を信じます。
ミュンヘンフィル・ホームページ
演奏会ちらし
また4月3日には、バイエルン州立歌劇場が日本の為のBenefizkonzertを開きます。
マリエンプラッツのフラウエン教会にて15:30pmより。ケント・ナガノ指揮。
こちらは、入場券が必要なようです。
詳細はこちら
2011年 03月 10日
昨晩エレーヌ・グリモーのベートーヴェンの皇帝を聴いてきました。
いや〜実に濃い演奏でございました〜。
ジュースの原液をそのまま飲まされちゃった感じ。でも果汁100%の
上質の原液です。最初っから最後まで、重厚にパッショナブルに。
オケはいつものミュンヘンフィル、棒はティーレマン。
オケも、なんだか良いのか悪いのか、すごい演奏でした。
Tuttiの箇所で水を得た魚のようにブンブン鳴らして演奏しまくったかと
思うと、『おいおい』と突っ込みたくなる位、お気楽にピアノとずれてたり。
でもでも『さすがドイツオケだな〜』と感心する演奏でございました。
『揺らして、ズレてもこの安定感』は、日本のオケにはできない技です。
10年以上ぶりに聴いたグリモーのピアノ。
彼女ってこういう演奏するんでしたっけ?最初の印象をすっかり忘れていた
ので『皇帝』のあのピアノの『出だし』で驚いちゃいました。
『これ、フランス人?』『これ、あのかわいい女の子?』
今回も最前列で、ほぼピアノの裏側の直下で聴いたのですが、エレーナさん、
全鍵盤の底の底を指先が吸盤のように捉えて弾いておられました。
『掘るように』です。
こ〜いう演奏(でも上質なもの)久しぶりに聴きました〜。
素晴らしかったです。
家に帰って、彼女のことをもう一度、調べてみると・・・
彼女『狼少女』なんですね。狼と話せる?彼女の半生を読んでイメージと
全く違ったんで驚きましたよ。音が色に見える『共感覚』の持ち主とか。
あのベートーヴェンは確かに『狼少女』の演奏だった、だった。
上の映像は日本のテレビで放送されたもの。狼が出てたんでアップしました。
狼少女かあ。(何度も繰り返しますが)
やっぱ、この人も変人系・・?
将来は狼おばさんですか〜?
でも、彼女のこと、すっかり好きになりました。
こちらはバイエルン放送αによる彼女のドキュメンタリー映画。
面白いですよ。
2011年 03月 06日
一昨日、ミュンヘンフィル、ティーレマン指揮、クレーメル(Vn)の
ソフィア・グバイドゥーリナのヴァイオリン協奏曲2番を聴いてきました。
久々に深く感動し、自分を目覚めさせるような演奏(楽曲というべきか?)
を聴きました。今もって、その感動の中にいます。
アンネ=ゾフィー・ムターに委託され、2007年に献呈されたグバイドゥーリナの
ヴァイオリン協奏曲2番、『In tempus prasens/今この時の中で』。
今回はこの作品を、グバイドゥーリナを西世界に紹介し、第一ヴァイオリン
協奏曲を献呈されているギトン・クレーメルが弾いたわけですが、一音目から
震える程、感動してしまった。
一音目を聴いて、『えっ?クレーメルの音、変わった?』
クレーメルの音が綺麗なんです。女性の声のように!
彼の音がよく聞こえる!音色も音の伸びも美しい!
驚きでしょ?
何者かの霊が乗り移ったかのようだったクレーメル。
その後は、そのままグバイドゥーリナの世界に・・
彼女の世界とは、『神の世界』です。
言葉が足りなくて全く説明できないのが悲しいですが、
『信仰によって=霊で書かれた音楽』と簡単に言っておきましょうか。
聴き終えた後に、祈りの中で神に出会った様な、深い満たしの感覚がありました。
聴いてる時は何も考えられなかったけど。
オケ自体は一般的現代曲の例にもれず、まだまだ指揮者も含めて皆で一生懸命数え
てる段階だったけど、楽曲そのものの凄さと、クレーメルの霊感を得た様な演奏が
その欠けを大きくカバーしてた。今回の演奏は団員の友人曰く、上手く行けばCDに
なるそうです。っが!『上手く行けば』じゃなくて是非、もっと練習して突き詰め
て、CDにして頂きたい。後少しでかなりいい所まで届きそうだったから。
家に帰ってから直行で『福音書』を開き、この二日間、読みふけっている私。
自分の『渇き』に気付いて、水を飲みまくっている感じ。
上の動画はグバイドゥーリナの興味深いインタビュー。
そしてこちらは、この曲の初演当時の模様。
|